top of page

日記帳一冊目


24.2.24



春が近づき、卒業を意識する季節になったからか、「私は今17or18歳です」「現在三年生です」から始まるメッセージを数通頂き、ああ、わかるなぁ……と思いながら大事に読んでいます。



豊かで瑞々しい感受性を持ち、物語を愛し、賢いがゆえに傷ついてしまう、繊細な花びらでありながら鋭い棘を隠し持つ少女たちの最後の時間の一端に触れるたび、真弓を見るルリさんに近い気持ちになります。私は決して彼女のような素敵な人ではないけれど。



「世間的に少女である期間が終わってしまう」と綴られ、大人として扱われることへの忌避感、繭の外の世界への恐れ、年上の女性へのあこがれや友人との繊細な関係、

作品の感想と共に言葉にしてくれたお嬢さんがたとの秘密ですから全部書いたりはしませんが、

私が描いてきた物語の中に、少女の国にしかいない彼女たちがそこにいるようで胸が締め付けられました。

どうか、外の世界でも気高く生きてください。




 



その真弓を見るルリさんの話です。


彼女の「ニコちゃんより真弓ちゃんの方が好き」という台詞、作品的には結構大事なことを言っているのですが、あえて大ゴマなどを使わずにサラッと流しました。


この時点の真弓は意味を理解していないから。





ニコラへの思いと断罪と自分の心境を長々と書いてしまう、わかってもらいたい気持ちが強くて潔癖で説明くさい、いかにも真弓らしいメッセージを受け取って、

微笑ましくて可愛くてそのままでいてほしくなって、昔の自分を思い出し、傷つきませんようにと願う気持ちは、大人になって初めてわかることだからです。



『NICOLA』は真弓視点の主観です。大きく扱うのは真弓にとってインパクトのあるできごと。同じ会話の中でも、直後のこの言葉の方が印象が強かったです。





これは彼女の過去の経験、少女の頃に思い知ったことです。

なお、ルリさんは真弓に自分のすべてを話してはいません。数字にしたらきっと1%くらいです。




 


『NICOLA』のご感想、本当にありがとうございます。

返信ご不要のお気遣いを頂きましたが、少しだけ。ここに普段お越しの方もお読み頂いて問題のない内容です。




人目につくSNSでは話題にしませんが、また同作から切り取っての無断利用を発見してしまい気が滅入っていました。


こんなに大事に描いた作品もこの世界ではそう扱ってもらえないのだ、と悔しさが募る中、あなたがたの(なんとほぼ同じタイミングでお2人も!)時間をかけて書いてくださったであろう丁寧なお言葉と、ちえりちゃんや真弓への気持ちを受け取りました。



この作品を描いてよかった、発表してよかったんだと改めて思いました。そうしなければ、大切に読んでくださったすべての方とこの物語の縁はなく、私にとって何もかもが今とは違っていました。

折に触れて読み返します。本当にありがとうございます。



また、本日お送り頂いた方、お返事少々お待ちください。とても嬉しいお言葉しかと受け取りました。








24.2.20


少し前に、「推し女性キャラの成人向け二次創作は見れない」というポストを見かけ、わかる!!! と思いました。


全部が全部見れないわけではないけれど、好きな女の子を対象とした即物的・暴力的、過剰に生々しい性の記号的表現には忌避感があります。


作品の存在と、それにかける情熱は否定しませんが全く好みではないので近寄りません。美しくないと思うから。あと個人の嗜好として私は好きな子を神聖視しがちなので。




では逆に どんな作品だったら見たいだろうか?と考えたとき、(私の場合はセイレーンちゃん/クロセイ想定で話しますが)作者が女性、かつ繊細さや情緒を感じる成人向け作品はぜひ見たいと思いました。


こういうことをXで言うと、誤解されないためのありとあらゆる配慮と全方位への注意書きという名の防衛が必要になって楽しい<面倒なのでもう個人サイトでしか書きませんが、この場は「作者が女性」とあえて限定します。


たとえば、宮木あや子さん(「女による女のためのR-18文学賞」出身の作家さん)の小説のような。

そう、最近『雨の塔』のお話をする機会があったんです。

具体的な描写のある小説は未読で、ゆえに想像に過ぎませんが、『雨の塔』が好みなのでそんなクロセイがあったらきっととても惹かれます。



崇拝に近い賛美を線に変換して描かれた絵や漫画、しっとりと湿度を含んだ文で紡がれるクロウさんとセイレーンちゃんの閉鎖的な関係、絶対素敵ですよね……私は好きです。








24.2.15


この日記に「スケジュール管理がうまくなりました」などと書いたことがありますが大嘘すぎて白目を剥いています。計画性が無さすぎる……



私は本当にギリギリ人間で、さらにタチが悪いのが、締切直前になると神が降りてくるところです。


この手の話題でいつも 『少女の心臓』のラスト4ページの話をしてしまうので今回は割愛しますが、極まっているときに至高のアイディアが天啓のように降ってくるんです。

これと引き換えならば体力を極限まで削っても惜しくないと思ってしまいます。




では、一般社会人をしている時間が無くなれば解決するかというと、必ずしもそうではありません。

作品が生活と地続きでないからこそ、保っていられるものがこの少女の国には多いからです。



食べていくために描く(専業作家になる)のなら、今とはまた別のプライドが必要になります。


持っているこだわりを取捨選択し、ひとつひとつの作品にかける時間を上手に減らしてたくさん作らなければなりません。

「私でなくとも構わない依頼は受けない」なんて言えなくなります。仕事を選びすぎていたらお腹がすいてしまうから。


売れなければ生きていけないので売る作戦を考えることになります。

より多くの人に希求するために、自分の世界を貫く意思よりも柔軟に曲げることができる適応力が大事になるかもしれません。



まあ、私が明治時代の高等遊民かローマ帝国の市民だったら全て解決するんですが……



中学生くらいのころ、絵描きさんや漫画家さんになりたい!かっこいい!お外で働きたくない!と思っていました。

現実の大人の世界に行く想像すらできませんでしたし、もちろん今も働きたくはないです。


が、生活の基盤が別のところにあり、現実を持ち込まなくてよい今の状態がボロヴィニアにとってベターであると理解しているので、きっとこの先も締切直前に神が降りてくる兼業作家でいるのでしょう。







24.2.12


バレンタインの写真、最後に二択になって採用しなかった方をここに載せます。



こちらはまとまりが良いんですが、採用した写真の方が芸術点が高かったのと、チョコが目立ってバレンタインらしかったので軍配が上がりました


ああでもハートの形は綺麗に見えるし、こちらも素敵、今になってどうしよう?の気持ちです!



左奥の水色の、貝のかたちの陶器のトレイはインテリアショップで見つけました。中央に星の模様が入っていて、セイレーンちゃんすぎて2秒で買いました。


変身コンパクトみたいでかわいいんですよ。彼女も一応セーラー戦士ですし、変身アイテムがあっても良いのでは?






24.2.11


読み返して、少女たちを傷つけたい誰かの言葉はこの国に記録しておきたくないな、と思ったのでこのページは燃やし、最後の文だけ残します。




セイレーンちゃんの存在に触れているとき、そして今進めているご依頼やリクエストドローイング、交換企画といった「確実に求めていて喜んでくれるたった一人の誰か」のために作品を描いているとき、とても幸せで澄んだ気持ちになります。



メッセージすべて拝読しています。大事に書きたいのでお返事少しお待ち下さいね。






24.2.8


リクエストドローイングの仕上がりが最高になりました。あまりにも良いので手元に置きたいくらいです(冗談です、この絵はお迎えくださった方に愛されるために生まれてきたので)



強欲企画にご参加下さった方の完成連絡第一報が届き、顔のにやけが止まらなくて頬が熱いです。ああ、私のセイレーンちゃん!

ここ数日またガチ恋のような波(12月27日の日記と同じ感じの)が来ていてたまらない愛おしい思いです。

企画参加者様で完成がまだの方は安心してください。私もまだです。



制作に集中している間はXからログアウトしているのですが、いま(8日21時)最初に目に入ったおすすめポストがすべてブルースカイのお知らせでした。もしかして私がいない間に誰もいなくなってしまいましたか?

個人サイト中心なのは変わりませんが、アカウントを作ってみて良かったら使い続けようかなと思います。






24.2.3


今日、新しい机が届く予定です。

楽しみすぎてそれだけのために日記を書いています。


ここでだけ話しますが装画で頂いた原稿料を全部使いました。

友人に「あなたの作品が好きな人も喜ぶ、とてもいい使い方だね」と言ってもらえて嬉しかったです。


これまでなかなかじっくり検討する余裕がなく、引っ越しの際に間に合わせで買った机のまま数年過ごしてしまいました。

作家としての大切な道具のひとつなので、そろそろいいものを選ぼう、選んでもよい段階にきている、と思いました。


価値あるアンティークであるとか、たくさん装飾が付いているとかではないけれど、私の創作を静かに支えてくれそうな木製の白い机です。






24.1.28



これは話題に出そうか迷っていましたが、個人サイトに来てくださる方なら大丈夫だという信頼があるので書きます。



セーラームーン183話冒頭、セイレーンちゃんが小屋に入ってくる下からのアングルのカットに 乳首の影の描写がある んですよね……




気がついたときは驚きました。

が、違和感はありません。



表現の是非や時代性は置いておいて、違う星から来た人魚(おそらく)の女の子にとって胸の薄い布一枚の下が柔肌であることは何もおかしくないからです。


可憐な振る舞いとおっとりした雰囲気の中に、水の生き物特有の妖しさや恐ろしさが時折ちらつくのがとても好きです。

同じ常識と倫理観を持つ人間の女ではないのだ、と思う瞬間が。




まあ、乳首が浮いているカットが嬉しいかというと全然嬉しくないですが。



彼女の無知(地球の常識の欠落)によるラッキースケベとして消費する気にもなれず、彼女の体は彼女のもので、いやらしい何かではないのに、きっと長くこの世界にいたら彼女の持つ稀有なイノセント性が破壊され、自分に注がれる視線の意味を知って絶望する日が来るんだ、ああいやだ……


……まで考えたところで、彼女を守るためにクロウさんがすっ飛んでくるのが想像できて安心しました。




私はセイレーンちゃんのことを客体的に見ているので、今の全部特大ブーメランなんですけどね!



性的だとは思いませんが、色っぽいとは思います。彼女を構成する大事な要素であり、私のまなざしは彼女の体の優雅な曲線を捉え、美しいと感じます。


白い肌の柔らかさ、ライラック色を塗った唇の冷たさを空想します。自分のものにしたいとか、触れたいとは思わないけれど。



「私がセイレーンちゃんに向けている感情は常に完璧に正しい」と考えられはしませんが、彼女の話をしたり絵を描いていると、深い愛だと言ってくれる人や、大切なお姫様だということを汲んでくれる人がいて、そのたび、得難い経験をしているなと思います。ありがとうございます。








24.1.25


また一つ、忘れられない会話を書き残します。


名家に生まれたAと、同い年で彼の召使いのB、という二人組の男性キャラクターが好きだという知人とお喋りした時のことです。



私「じゃあ、家を出てAとBの二人だけでどこか遠くへ行ったら、対等になれる?」


知人「なれない。そもそも生活が成立しない。BがAに黙って春を鬻ぐことになる」



この、"春を鬻ぐ"という語彙!!

ああ本を読む人だ……と思いました。



だってこれがもっと、たとえば「体を売る」だとか、ありきたりな表現だったならば急に平凡で安っぽくなると思いませんか?


彼女のこの言葉ひとつで文学になり、二人で住む部屋と生活の様子、とっくに破綻しているのにそうではないかのように振る舞う姿、不均衡な関係性と退廃的な空気まで感じました。


説明なしで通じる相手として私を信頼してくれたことも嬉しかったです。数年前のなにげない会話ですが、言葉の持つ魔力を感じた瞬間でした。







24.1.18


先週、『NICOLA』の余部を通販に出したときのお話です。


完売してすぐに、


「絶対欲しくて開始前から待っていて、こういう風にカートに入れて、

そのときの気持ちはこうで、買えて嬉しくてスキップ」


そんなメッセージが届き、なんだかとてもかわいくて私も嬉しくて幸せになりました。

わかりますか? この愛おしさが…


たとえるならば、ニコラが出る舞台の最前列のチケットが取れた真弓の心なんですよ、私はそういう、ドキドキしながら正座待機更新鬼連打しているような人が大好きです。


「私の作品への熱量が高いから」ではなく、「共感するから」です。




過去にもこんなメッセージを頂いたことがあります。


通販の荷物を受け取り、それを胸に抱えて自分の部屋まで駆け上がる高揚感が子細に描写されたもの


我慢できなくてコミティアの会場内で読んでしまいました、と会場の熱気や非日常感を織り交ぜて書いたもの


まるで手記形式の私小説のようで、「この人たちが物語を書いたら絶対面白いだろうな」と思いました。


作品そのもののご感想はすべて大切に拝読していますが、そこに至るまでの感情にもたっぷり栄養があって、深く共感しながら美味しく頂いています。







24.1.7


薔薇の女王エマ視点でカットしたシーンの話


この作品には、「プロットにはあったけれど形にならなかった場面」がいくつかあります。その中のひとつを紹介します。




中学卒業前、えみりんがエマに思い切って注意する


えみりんとは、咲良視点で出てくる中学時代の友人グループの一人です。のちに高校に上がって彼氏ができたと話題にされている女の子。



(姫カットの子。5人の中で精神的に落ち着いている方で、自分の立ち位置をやや俯瞰して見ているタイプ)




以下、プロットメモより抜粋。




「高校分かれるしあと少しだから

ハブられるの覚悟で言うけど……


エマのその独裁者みたいなの

高校行ったらやめたほうがいいよ


や、嫌いなわけじゃないんだよ

友達だと思ってる


でもさ たとえば

好きなカップリング逆だと言えないんよ

だって違う意見許さないじゃん


うちら3人は

エマが機嫌悪くならないように

そういうの全部先回りして

趣味の話でも気をつけてた


知らなかったと思うけど

エマとさくら以外の

3人のLINEグループあるよ


さくらはなんかエマ派っぽいから……



うちはさ……

できれば5人でいたかったし

波風立てたくなくて静かにしてたけど


卒業旅行のふーちゃんの件

さすがにないなって

うちらはエマの思い通りになる

兵隊じゃないよ


ごめん、言い方きつかったかも

わかってくれればいいだけだから……」




回想を想定しており、中学エマの反応は「言われたこと自体がショックで何も考えられない」でした。




カット理由は

「先輩に振られるシーンと似ているため」

です。


まず、エマにショックと気づきを同時に与えるという意味合いが同じ。

さらに、主人公が一方的に説教されるという構成も全く同じ。これはしんどく、続いて楽しいものではありませんからばっさりカットしました。




一人っ子の中でも蝶よ花よと可愛がられて育ったエマは、歳の近い相手と対等な関係を築いた経験も、他者と譲り合って我慢した経験も人より少ない。

明確な正解がない社会の中で、自分の何がだめだと思われてなぜ嫌われるのか分かりません。


小学校までは一目置かれるくらい強い女の子でした。中学でも自分に従ってくれる子のリーダーの地位を得てやっていけました。

けれど高校ではもう通用しません。



周りの子がどんどん大人に近づいている中、エマはいつまでも身勝手で高慢で自由で、薔薇のつぼみの内側のように本当は傷つきやすい少女のまま。


それを全否定し、“普通”にならなければだめなんだという強迫観念から、自分に合っていないことを無理にやって失敗もしました。


そこから「どうやって現実で生きていくのか」考えた結果彼女が得たものが、ラストシーンに詰まっています。







24.1.1


あけましておめでとうございます。

さっそく「23.1.1」と書いてしまい、ああもう24年なのだと直しました。


今日以降、『薔薇のつぼみの女王のための歌』第二部のお喋りを自分に解禁します。本が行き渡り、それぞれの素敵な感性をもってこの花に触れてくださったであろう頃合いだからです。


少し時間がかかるかもしれませんが、今後、この作品についてのまとまった手記を綴りたいです。NICOLAや少女の心臓でも書いた、あとがきを兼ねて深掘りしたお話を。



昨年いただいたご縁や新しい出会いを心に浮かべていると、初詣に行くよりもセイレーンちゃんを拝み倒さねばならない、と思います。


実は、薔薇の女王の原稿を描いているときに机のニスが溶けて大変なことになってしまったので、先日ちょっと良い家具屋さんを見てきました。

近々そこで気に入った新しい机と周辺を揃えて、作品づくりの環境をよりときめくものにします。


とても楽しみです。人魚姫の美しい祭壇も作ります。






23.12.31


昨晩やっと9月に出たポケモンのDLCを始められました! 小さい頃からロコン大好きなので会えて嬉しい。可愛いです。

今日は朝から読みたかった本とゆっくり過ごしています。夏以来の何をしてもよい時間がとれて、水を吸うが如く精神が豊かになるのを感じます。



現実で一般社会人をしながら、作家として薔薇の女王の物語を完結させ装画のお話を受けてどちらも手を抜かず最高の作品に仕上げたこと、これ以上ないほど誇らしいですが代償にすべてのエネルギーを使い果たしました。


一番立て込んでいる時は「もうこんなスケジュールにはしない!」と思ったけれど、現実の一般社会人をしているときではなく作品を生み出しているときが私が私として生きている時間なので、喉元過ぎればきっと同じことをするのでしょう。


NICOLAの連載時ような鬼気迫る徹夜はしていないので、調整がうまくなったと感じます。



次のイベントの予定はコミティア148(5月)、再録集を作って持っていきます。素敵な本にしたいです。描き下ろし漫画を入れられたらいいなと思っています。


少女の国にお越しくださった方、本当にありがとうございます。ここは、この門が見えるひとりひとりの方と私のためにあります。


それでは、よいお年をお迎えください!






23.12.27


SNSで久しぶりにセイレーンちゃんの話ができて楽しかったです。


「彼女をどう思うのか、何が好きなのか」を書くことは、一方的な視線を送る私と客体的な概念としての彼女の一対一の閉鎖された世界に漂っている名前のない感情を他者に伝わる言語に変換することです。


最初からキモオタ全開になってしまいました。推しを語るとき、人はおしなべてそういうものだと思います。



私は私のことを「ガチ恋ではない」と考えていますが、案外そうでもないのかもと思う時があります。彼女に対する感情の種類に波があり、常に同じ気持ちというわけではありません。


たまらなく愛しくて狂おしく、でも私を見て欲しいとは一切思わないし交流を想像もしない場合、なんと表現してよいのかわかりません。


名前をつけることができなくて、深夜に友人に「私のこの"好き"って……なんなんだろう……」という迷惑電話をかけた禊(みそぎ)に友人の推しであるVTuberユニットの曲を全部聴きました。とてもよかったです。






23.12.23


真弓がどこで靴を買っているか、というお喋りですが松坂屋または高島屋の婦人靴売り場です。大学2年生くらいまで。

お金の出所はママの優待カード。非常に名古屋的な母娘客です。


無条件に全額払ってもらっているわけではなく、お誕生日だったり何かのお祝いだったり、後から自分で一部または全部払ったりはしています。


真弓が幼い頃から家族でよくデパートに行くので、そのまま自然とそうなっただけ。どちらかというと「そこしか知らない」感じ。



高校に入学したときのローファーも同じ場所で買ってます。2万円くらい。一定の知名度がある堅実なブランドの本革の靴。

特にこだわりもないし、ママが選んだだけ。自分はサイズしか確認していない。それが世間一般的には高額であるいうことも知らなかった。百花が聞いたら憤死します



高校がバイト禁止だったこともあり(そしてそのルールを律儀に守っていた)、真弓は自分のお金で自分の服や靴を自分一人で選んだ経験が人より少なかった。


「フィントのお洋服が好きだなあ」と思い始めたのは大学生になってからです。自分にしっくりくるという感覚。この頃から両親、特にママとの関係性が変わってきました。


自身の好みをしっかり持ち、一人の独立した人間になっていく娘はもう"小さな可愛いまゆちゃん"ではない。子離れする時が来た。そのことを受け入れるのは初めは難しい。

推しがどうとか天使がなんとかと言って新幹線に乗って一人で東京に行くなんてことも、高校生までの真弓では考えられなかった。


観劇しているらしい。それならいい趣味なのかも。本当は「外泊はダメ」と言いたかったけれど、過保護かもしれない。娘の自由を奪う親になりたいわけではない。パパと相談し、「夜行バスはダメ」に留めた。



なおパパの方は「ついにうちの娘も男の子に興味を持ち始める年頃になったのか〜」などと思ってます。真弓が知ったら違う!と卒倒するでしょう。



生身の人間なので、これまでの19年分の人生があって今の考え方をする真弓が存在しています。本編に描写がなくても全部私の頭の中にあるのでこういった話なら無限に出てきます。真弓ほどの解像度ではありませんが、他の登場人物もそれぞれ生きてきた年数分の背景を持っています。






23.12.20


今日は真弓の誕生日です。2020年3月(連載開始)時点で19歳だった彼女は23歳になりました。リアルタイム連載の作品の「現実の生身の少女」は、私たちと同じ時間を生き、一緒に歳をとります。


最終話で真弓は、ちょうど今である23年12月に百花と連絡を取っています。そして約3ヶ月後の24年3月にNICOLAの第一話を描き、連載終了が25年3月。天使と出会って5年の月日が流れています。




今だから言えますが、これはちょっと早すぎたかなと思っています。


完結時のこの手記に書いた通り、真弓は社会に出てから打ちのめされるので、こんなに早く復活できないし絵が描けない時期があります。


親元を離れ知らない土地で初めての一人暮らしで社会人一年目で、疲れて帰ってきて何もできなくてとても創作活動をする時間も気力もなく、この生活があと40年以上続くんだと絶望する期間が。

冬の寒さが堪え、今が彼女にとって一番辛い時期かもしれません。



実は、これまで描いたキャラクターの中に「大人になって作家になった真弓のファンの女の子」がいます。ルリさんの予言が現実になりました。この話はいずれしますね。



--------------------------------------------

12月16日までに頂いたメッセージへお返事いたしました。私室下部の祈祷所をお開き下さい。返信ご不要でお寄せいただいた方も本当にありがとうございます。大切に拝読いたしました。






23.12.18


記事名を初めて個人サイトを作った時の日記コンテンツと同じ名前に変えました。懐かしく感じます


投稿サイトも良いけれど、テーマの一貫したひとつの世界がほしくて、たくさん調べて自分のお城を建てた日のことを思い返していました。今その時と同じ気持ちです


このページ単体の更新のお知らせは特に出しません。気が向いた時に紙をめくる感覚でいらしていただければ幸いです




さっそくおしゃべりですが

明後日は真弓の誕生日です


先日、過去に書いた手記の中の真弓の一か月にかかる推し活費用の話を見ていて 昨今の値上げの波を感じました


これを書いた当時は、彼女が好きなFintのワンピースは1万円あれば少しお釣りがきていました。今見たらそれでは全然足りなかったです。



変化といえば、「オタク」をとりまく環境もそうですね。

作中に登場している青い鳥アイコンは無くなってしまったし、2020年時点でも古い表現をイメージしていたニコラへのリプライ(7月編)はもはや化石みたいになってしまったし「www」はほとんど見かけませんし「勝たん」もなくなるでしょう


数年でいろんなことがすっかり変わってしまいましたが それは枝葉なのでまあいいか、とも思っています。

私がこの作品の中で描きたかったのは、推し活の様相やセンセーショナルな設定そのものではないからです。




呟きをまとめた手記より抜粋(2020年8月5日分)


「一貫して描きたいものは、空想的で傷つきやすく高慢で陶酔しがちな少女(たち)、その感受性、その世界。それ以外の要素はすべて舞台装置。


おたく活動、"同担"という他にない関係、2.5次元の特殊性などは大切に扱う部分ですが あくまで描きたい感情を引き出すためのもの」




少女の魂は『山梔』の時代から変わっていないし、なんならもっともっと昔から変わらないものです


時を超えて今をときめく話題が通じなくなって、推しという言葉すら消え去っても、この作品に閉じ込めた精神と感性という言語は不変です。





23.12.16


資材がすべて揃ったのでこれから梱包に入ります。本をお迎えくださった方、少女たちの瞳に映る世界を好きでいてくださる方の感性を信じているし、愛しています。

bottom of page