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活動しないことは悪なのか? -完璧主義という呪い

  • 水野みやこ
  • 2021年1月24日
  • 読了時間: 4分

更新日:1月19日




『NICOLA』12月編までのネタバレが含まれます。



竹下さんvs真弓。

初対面で一方的なバトルが発生してしまった引き金は、真弓の歯切れの悪いひとことでした。




「もっと上手くなってから……」


この言葉、真弓は過去のシーンでも言っています。

どんどん作ってどんどん発表できるタイプの竹下さんに、これを口癖にしてしまう真弓の気持ちは全く理解できません。


野菊さんに仲介してもらい、期待して来た分、彼女はがっかりした。同じレベルの話なんかできない、グダグダと口ばっかりで何もしない、一番嫌いなタイプの人間だ!と思ってしまった。


もし真弓の返事がこうではなく、


「素敵だと思うけど自分は興味ない」


とか、


「趣味なのでやりたい範囲でやってます」


だったならば、


「そんなもったいない、絶対どっかに出しましょう。私がやり方教えますから」


という反応でした。

これはこれで自分の価値観を押し付けているとはいえ、竹下さんは応援する立場になっていました。




趣味の創作は、会社の仕事でも学校の勉強でもありません。どのくらい活動するかは本人の裁量次第。

楽しいと思えることだけやりたい、点数はつけられたくない、有名になりたい……人それぞれで活動内容も自由。真弓だって別に今のままで、無理にやることはない。


その通りです。

真弓の問題はそこではありません。



「本当は本気でがんばったり外の世界に出てみたい気持ちはある(自己実現欲求)けど、うまくできなかったら傷つくし恥ずかしい(完璧主義)」



という思考で足を止め、「やらない」を選択し続けていることです。


結果、何も生まれず、永遠に自分で自分を認めてあげられない負の連鎖が起きています。

理想をニコラに丸投げし(これまでのお話参照)、結局それも崩壊してしまい、彼女の世界は行き場をなくしています。




何事も本気でやれば、自分の実力はたいしたことないという現実と必ず直面することになります。やらないままでいれば、本気でやればできるという可能性の中に生きられます。


真弓は、思い通りに描けなくてショックを受けるのが予想できるから逃げていて、その自覚はあり、これじゃだめだと思ってはいます。常に後ろめたい。そこを竹下さんに急につつかれて動揺し、取り繕ったあいまいな返答をしてしまいました。


一般的には、話し相手が真弓のような歯切れの悪い反応をしたら、察してそれ以上何も聞きません。

ところが竹下さんは、グレーの部分が理解できず白黒つけたがる とか 他者への共感が難しく人に寄り添うのが苦手 という特性があるため突っ込んできました。


彼女は才能が突出していて対人コミュニケーションが不得手なタイプ(を想定しているキャラクター)です。倍くらい年上の野菊さんと問題が起きなくても、真弓とはうまくいきません。



なお竹下さんは、好きな『ムラクモエイト』が載っているから青年スパークに漫画を投稿しただけです。

どういうテイストが多くの人に受けるのか考えながら描いた。自分の今の実力をはかり、どこまでできるか確認するための小手調べ。


活動は漫画一本ではないし連載を持つ気もない。今できることとできないことが自分でわかっている。とにかく多作。息をするように何か作って発表する。作ったものに強い思い入れはない。箸にも棒にもかからなくても落ち込まない。


真弓とはまったく異なる性質を持つ存在です。







-以下、ボツシーン公開-


(ネタ出し時のメモ書きほぼそのままです)



公演終了後、ニコラがツイッターを更新する。

プレゼントの写真の中に、竹下さんのさらりと描いた風のプロ並みに上手い絵と自分の絵が並んでいる。


仕上がった時は自信があったのに、急に自分の作品がみすぼらしく見えてショックを受け、恥ずかしくなり、もう絵を贈るのはやめよう…と考えてしまう。



「ニコラに感想として贈る」よりも「自分をアピールする」が上回っていることを暗に示す場面でした。ニコラの誤爆事件が起こる8月よりも前でないと成立せず、竹下さんの出てくるタイミングと合わないのでボツに。





お読みいただきありがとうございました。

手記の目次はこちら

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