真弓は知りもしませんが、
ちえりちゃんが降りた本当の理由は
「ニコちゃんがこのまま2.5次元系の
俳優になるならもういいや」
と思ったからです。
物語が終わりに近づいている1月編、ちえりちゃんとパンケーキを食べる場面の直前に、真弓がライブをまったく楽しめていないシーンがあります。
このライブのトークタイムでニコラは、事前に募っていた質問の中の
「今後やってみたい役はありますか?」
に対して、すでに2.5次元舞台化されている大人気作品の舞台版未登場キャラクター名を答えました。
真弓にとって一切印象に残っていないできごとなので、真弓視点である本編中にこの描写はありません。
ニコラが個人的に好きなキャラ、かつ自分に合っていると思って答えたもので、彼自身も特に深く考えていませんでした。
しかし、ちえりちゃんにとっては、
「あー、そういう答えが出てきちゃうんだ。
今後そっち系にいく気なんだ。
また前みたいに色々めんどくなりそう。
じゃあもう、どうでもいいや」
今までの積み重ねもあり、だんだん彼女の中でニコラの推し活が楽しい<面倒になっていたため、これが最後の一押しとなってあっさり降りました。
すべての人にとって100点の答えを出すこと、すべての人にとって望ましい存在であり続けることはできません。
そもそも、ちえりちゃんの中でニコラのピークは、ムラステに出るよりも前です。
(『NICOLA』12月編より)
彼女のこの発言は本人の目に入っています。
ニコラ(田口くん)にとってものすごく残酷な言葉ですが、「ファンのSNSは見ていない」と公言しながら見ているのは自分であり、それを理解しているので感情の行き場がありません。
なお、主人公の真弓は自意識がとても強いため、「自分のせいで降りたのかも」などと色々考えてしまいますが……
はっきり言って、ちえりちゃんの中で真弓はかなりどうでもいい存在です。
推し活を左右するほどではありません。
本人が思うよりもウエイトが小さいです。
ニコちゃんファンという括りの中で、話せて楽しくて趣味が近くて安全そうだったからたまに一緒にいただけで、まだ全然友達ではありません。
だから一言もなしにブロックして終わりでした。
登場人物の中で、ちえりちゃんが一番ドライで真弓が最もウェットです。
この二人は性質が違いすぎて、これ以上距離が縮まれば理解し合うのは非常に難しかったです。
真弓は繊細で、何でも大げさにとらえ、嫌われていないかをとても気にして、感情の振れ幅が大きい。
そして、相手のことを深く考え、最後まで義理を果たし、共感性が高く、他者に寄り添うことができます。
ちえりちゃんの視点で見たら、『NICOLA』は物語にはなりません。真弓視点だからこそ成立しています。
最初の方は過去に一度出した話題です。手記の1ページとして個人サイトに載せるため加筆修正+後半を書きました。
そしてSNSでこの手記の更新のお知らせを出そうとして、やめました。"わかっている人"だけに楽しんでほしい内容だからです。
お読み頂きありがとうございます。
手記の目次はこちら