今日は真弓のお誕生日です。
2024年の彼女は今、最終話の通り原稿中で、毎日が修羅場です。
実家を離れ一人暮らしになって、自分の身の回りのことを全部自分でやらなければならない状況にようやく慣れつつあり、
一年の生活サイクルを回せるようになってきて、もうお湯にお金がかかることもわかっているし、自ら片付けなければ誰もお皿を洗ってはくれないと知っています。
今もまだホームシックで突然涙が出てしまう日があります。社会の洗礼を受け、仕事自体も職場の人間関係も何もうまくいきません。
「期待してたけど思ったよりどんくさいね」
「あなたが本来やるべき仕事のうち何パーセントできてますか? できてない分は他の人がカバーしてくれてますが自覚ありますか?」
などと言われてお手洗いで過呼吸になり、「女の子は泣けば済むと思ってる」とさらに叱責され、東京で新しい友達ができたりもしていなくて、決して順調とは言えない。
誕生日もクリスマスも、故郷に帰っていないので一人です。けれどそれを気にしている場合ではない。とにかく一分一秒でも長く制作時間を確保したいから、締切以外の日付のことなんて構っていられない。
あたたかい実家の窓から、ちらつく雪を眺めて、天使に思いをはせて一喜一憂していた少女時代はついこの間のはずなのにもう遠い。
幼稚園の頃に紙コップで作った、とても壊れやすいはずの天使のオーナメントが、あんなにきれいなまま大切に残っていたこと自体が親からの揺るぎない愛の証明なのだと今さら思い至ります。
自分のことだけで精一杯のまま大人の形になってしまったわたしが、そんなふうに見返りを求めず他者を大事にできる日が来るんだろうか。
ところで現実の話をすると、
一般的には日本海側の冷たい風が入ってくる名古屋の冬より東京の冬の方が気温が高いです。
さらに、一軒家より集合住宅の方が熱が逃げにくいので、周りの人が寒い寒いと騒いでいる日も真弓は「別にそこまで寒くないな」と思っています。
さて、今年は神官の二人の絵を描きました。
ちょうど良い機会ですから、
ムラクモエイトを知って、百花と友人になって、『NICOLA』第一話に至るまでの真弓の年表を公開します。
【大学一年生(2019年) 5月ごろ】
部室に誰かが持ち込んだ『ムラクモエイト』を読み、高畠クロエと運命的に巡り会って好きになり空想が止まらなくなる。
すぐに自分で単行本を買い揃える。調べまくる時期を経て我慢できなくなり、知ってから二週間くらいでクロエちゃんアカウントを開設。
二次創作は初めて。
【7月ごろ】
舞台版『ムラクモエイト』のキャストが公式発表される。
作中の通り、真弓は内心2.5次元が好きではなかったので嬉しくない。
ニコラの写真や動画のみで騒いでいるフォロワーを見て、「たしかに綺麗だし中性的な人が来てくれたけど実際まだなんにもわかんないじゃん」と思っている。
高畠クロエに特大の夢を見ており、三次元の男性が表現できるわけがないと考えていて半信半疑。
【8月ごろ】
ムラステのチケット先行抽選受付開始。
これも作中で彼女が言っている通り、クロエちゃんの解釈が異なるだけでなく遠回しにチクチク嫌味を言う人や、変態化が大好きで発言力のある人などが"界隈"に複数いてもうすでにしんどい。
そんな中、野菊さんと百花は好みが近く、安心して交流できている。真弓の絵が好きだと言ってくれる。
この二人とそれぞれチケットを取ろうという話になり、距離が縮まる。
【10月ごろ】
『ムラクモエイト』の同人イベントに行く。
サークル側で出ている野菊さんが誘ってくれたことがきっかけ。これが人生初の同人イベント参加となった。
何も分からずものすごく緊張していたが、野菊さんがSNSの外では初対面にも関わらず気さくに話してくれた。
会場で百花と合流。こちらも初めてリアルで顔を合わせた。お茶をしてたくさんお喋りした。
9月編の回想に出てくる「百花ちゃんは何学部なの?」はこの時の会話。
【2020年 1月】
ムラステ(東京公演)初鑑賞。
昼公演を野菊さんと、夜公演を百花と。
自分の煮詰まりきった空想そのままどころか遥かに超えてくるほどの、天乃ニコラの表現する軽やかでしなやかで妖艶な高畠クロエに魅了される。
(書籍版編集時に制作した新規ページ。このとき大幅な変更を見送ったため現在非公開の原稿)
2.5次元への偏見や、三次元の男性がどうのこうのを全部忘れて手のひら返して瞳をきらきらさせているのが『NICOLA』冒頭カラー1p目のシーン。
その日の夜、宿泊先のホテルでいてもたってもいられず舞台用の鍵アカウントを作成。
野菊さん・百花と大はしゃぎ。本編へ続く。
以上です。
本編では「百花」と呼んでいるところ、回想シーンでは「百花ちゃん」なのも小さなこだわりでした。
同じものが好きで同じような不満を抱えている二人が、お互いの背景を知らずに結びついていく様子をご想像ください。
お読み頂きありがとうございました。
あなたにも天使の祝福がありますように。
また、お時間が許すようでしたら、このお城の応接間より真弓におたよりを頂戴できましたら幸いです。
現在個別のお返事はお休みしておりますが、丁寧に包まれたプレゼントのように大切に拝読させていただきます。
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