top of page

「あんなことがあっても美しさに感動できる正しく高潔な私」

2020年8月から11月までのツイートより抜粋。

備忘録です。誤字脱字等の修正、一部注釈あり。

主にNICOLA制作中の呟きから設定、裏話、少女の感性のお話など。





20.12.6

どこにも属さない中性的な魅力、または少年の刹那の妙で売ってきた。至高の存在のように。自他共にそこに価値を置いた。

それが、本来喜ばれるべき"成長"と共に喪われていく。骨の浮きはじめた手、角張る顎を忌む。それすら取り込み羽化する選択ができるか、このまま繭の中で溶けて朽ちるのか。

(ニコラの話)



20.12.12

なんと竹下さんは真弓を攻撃しているつもりがありません。人と人との一般的なコミュニケーションがちょっと難しいタイプの人。

彼女の論理で生きている。常に何か描いている。創作活動に全振りできる。自分の作品に自信がある。友達が欲しいのではなく同志がほしい。本当に期待していたし落胆した。


いきなり所属と名前と年齢と活動を話し始めるのも、マウントをとっているわけではなく、彼女の中では「ちゃんと自己紹介」している。

倍も歳が離れた子が多少変わっていても、野菊さんは気に留めないので問題が起きなかった。真弓とは歳が近く、"創作"という共通点があるせいでこんなことに。



20.12.15

ニコラという名、クリスマスっぽいですね。

天使のイメージ、国によるようですが男女両方につけられる名前、タイトルにするときの音の響き、そして彼の印象にぴたりと合うように……たくさん考えて付けました👼



20.12.16

「もっと上手くなってから」は真弓の口癖というか思考グセ。特に絵に関しては何をするにしてもこれを持ち出す。過去にも大事な場面で口走っているので探してみて下さい。



20.12.23

ニコラと出会って一年。

天に昇って真っ逆さまに落ち、暗い底で嘆きながらようやく自分の足で小さな一歩を踏み出したところで、真弓という少女の2020年は幕を閉じます。

皆様、彼女と共に生きてくださってありがとうございます。この先もどうぞお付き合いください。



20.12.24

今頃、ニコちゃんがクリスマスソングを歌っている動画をあげてくれて、家族でディナーとケーキを囲んだあとの真弓が久しぶりにあふれた神聖な気持ちに涙を流しているでしょう。

そして心のどこかで、「あんなことがあっても美しさに感動できる正しく高潔な私」を確認して安堵している。

すべてが元に戻ったとはとても言えない。疑ったり沈んだり、楽しくないことが増えた。心臓にあいた穴を絆創膏で塞いでごまかしているだけ。

百花のように「もう降りる」とも、ちえりのように「そんなの娯楽じゃない」とも彼女は言えないまま、信仰はいつのまにか執着に変わってしまった。



20.12.24

真弓は思い入れの深いタイプ。

5月の配信で、ニコちゃんが共演者たちに嘲笑されたとき自分のことのように怒った。


同情し、自分の苦しみと重ね、「あなたのこと全部わかる」「世界中が敵になってもわたしは味方」と非常に強く肩入れして想像で泣いてしまう。

百花は、言い方や扱いに怒るけれど真弓のような共感はしていない。残りの3人もそれぞれ配信を見ていましたが、大人たちは感じ悪いなと思ったくらいです。ちえりはよくある流れだと知っているし、気にならないのでスルー。



20.12.26

「田口雄大と天乃ニコラを分けて考える」は、「作者と作品を分けて考える」に似ている

望ましいとされ、皆できているように見えるけれど、結構難しいことだと思います。

「絶対正しい」と考えて苦しむくらいなら、できなくてもいい。「わたしはそうなんだなあ。」と自分を許して楽になってもいい。真弓にはそれが難しいのですが……



20.12.27

自他境界が曖昧で(夜想 『少女』にも特集ページがありますね)、思い込みが激しいのは少女的だと思っている。私はそれがとても愛おしい。


返信不要のメッセージからで恐縮ですが、「真弓ちゃんの背中をさすってあげたい」というお言葉がやさしくて、うずくまる彼女に教えたくなりました。"少女"を見守って下さる方がいること、心強いです。



20.12.28

真弓の憧れの作家の「可奈子さん」も、18歳の頃は、進学で離れた親友が誰のものでもなかった二人の少女の青い時間を過去にして俗っぽくなるのをひどく恐れていました。


会うたび、現状が気になるけれどプライドが高いので自然に聞けず、探りを入れるのも下手。

大好きだから卒業式に殺したいと思っていた。自分の目の届かないところで変わってしまう前に。


思うだけで、やらないけれど、そのくらい苦しかった。ものすごく独占欲が強い少女。当時のことを書いた話が彼女のデビュー作となり、真弓の心に響いたのは当然で運命


20.12.30

「尽くしているんだから私のことが好きだろう」

「助けてあげたんだから僕のことが好きだろう」

と、なりがちですが実は逆で、相手に何かしてあげるほど自分からの思い入れが深くなるそうです。推しに貢げばわたしを大切に思ってくれるのではなくて、こちらが依存していく


こういう話をするといつも、まどマギのさやかを思い出します。他人に何かしてあげるときは自分の心のコントロールが必要


「ここまでしたんだから相手の中で自分の地位が上がる!」


という期待を増幅させると、思ったよりも"効果が無く"て、落差でとても傷ついてしまう

真弓は絵と手紙に、「自分を知ってほしい、価値を認めてほしい!」という強い期待を込めていました。百花も見返りを求めている。「プレゼントや花を贈っても(私を見てくれないなら)意味がない」と言ったのがその証拠。

ふたりとも思い通りにはいかなかった。



20.12.31

空想的な二人の少女の共鳴、俗っぽくて馬鹿な周りの人間の中で自分たちは特別なのだと思い込む、妄想と現実の境界を失う……

などがピンとくる方は『Heavenly Creatures(乙女の祈り)』がきっとお好きだと思います。

神官シーンでオマージュしている場面も多いです🕯



21.1.3

(可奈子の話)

真弓と似ている。ダフネコンプレックス、潔癖気味、自己愛と独占欲の強い苛烈な少女。

違うのは、彼女は彼女の刃を研ぎ続けてきたこと。その強さがある。たとえば真弓の歳の頃には文学フリマに出ていた。今まで描いてきた通り、真弓はやりたい気持ちはあるのになかなか外の世界に出ることができない。

そして、他者として可奈子の感性とそこから生まれいづる痛みまで愛してくれる親友がいること。

真弓は、自分をわかってくれる!と感じた子とズブズブの関係になる。魂を分け合う。感受性をまるごと見せ合う。相手の中に自分を探す。わたしたちは特別なの。指をつないで運命の双子の少女のように半年ほど過ごす。果ては例の通り、その繰り返し。向こう側からすれば"真弓に絡め取られた"とも言える



21.1.5

ニコラの誤爆ツイートは何度も推敲しました。気軽で、軽率で、悪気なく、生々しく。


真弓と百花には大ダメージ。

他のファンにはそうでもない。

何も知らない一般人が見たら、「うん……?よくわからない」と感じるバランスになるように。


わかりやすくショッキングな失敗のほうが実はマシな結果になっていました。誰の目から見ても、降りて当然だから。

ニコラに対する"正当な"怒りを以って切り捨てて終わらせることができたから。


この内容で離れたら「永遠に崇めると誓ったのに"この程度のこと"で簡単に覆す浅いファン」になってしまう。真弓はプライドが邪魔をして身動きがとれなくなった。

傷ついた自分を抱きしめてあげることもできずに、悲しみを否定し、正しいファンでいなければ、と迷走していく



21.1.22

「担タレ」という言葉を新しく知りました。(ファンは推しに似る、という意味)

ニコラはまさにそれです。刺さる層が狭く刺さり方が深いので、ファン同士も波長が合いやすい。


ファン仲間との縁はもしかしたら、真弓にニコちゃん本人よりも変化をもたらす人生の財産かもしれません。



21.1.22

いつもそう。期待しすぎてしまう。

いつのまにか、選ばれると思い込んでいた。だってわたしが誰よりも可奈子さんの世界をわかっているから。

ライブ曲投稿時と同じ思考回路です。真弓の"好き"は、対象と自分との境界があいまいに溶けていく。


21.1.23

5月「2.5次元からじゃない」と先に嘘をつく

7月「アニメオタクが大騒ぎ わたしには縁のない世界」

1月「ラノベみたいな軽薄な絵」


これらすべて根が同じ。

"わかりやすいオタク的なもの"を心の中で見下す、自分は彼らと違って高尚なのだという意識。



21.1.23

(選考漏れエピソードの回に頂いた感想ツイートを受けて)

本当にその通りです。今回は商業作品の表紙。絵そのものの価値や個人の好き嫌いではなく、アピールしたい層に売れる絵が採用された。


……と冷静に考えることができれば、

「全部否定された!もうファンやめるし絵を描くのもやめる!」

なんて極端に落ち込まなくて済みました


作者の可奈子さんも選考に参加していますが決定権は出版社にあります。少なくとも、「大好きな作者さんから、価値がないと直接かつ個人的に判断された」わけじゃない。

真弓は勝手にことを大きくしてショックを受けています。"落ちた"という事実は同じでも、捉え方で自分を不幸にしている

それはただ、転び慣れていないだけ。

野菊さんの言う通り、転んだということは一歩踏み出せたから。歩いたこともないのに、上手に走れる理想の自分しか認められず転ぶのを怖がっていた状態に比べたら、大きな変化です。


思考が極端なのは本人の性質もあります

たとえば「部活に来るのがちょっと遅い」と先輩に指摘されたら、翌朝、鍵が開くより前に来ているとか。誰もそこまで言ってないのに必要以上にショックを受け、少しの注意で全否定されたと感じ極端な行動に出てしまうゼロ百思考をしがち。



21.1.23

真弓の憧れの作家、可奈子さん。元は「アリプロファンの16歳の少女」という設定のキャラクターです。そのひとが大人になり、作家になり、新世代の少女・真弓の心を震わせる物語を書いている。

"美しいとは、こういうことよ!"


『NICOLA』は2020年のお話なのでこの年に20歳の誕生日が来た真弓は2000年生まれ。真弓の10歳上を想定している可奈子さんは作中では30歳で1990年生まれになりますね。可奈子さんの世界に救われ、美しいものを信じて、大丈夫だと背中を押されて繭を破り外の世界へ出た少女たちは、次の"少女"の導き手になる。


可奈子さんが真弓の歳の頃にどんな少女だったか。それは既刊『少女の国』に残されています。



21.2.1

「垢消し」なんて言うと後ろ向きに聞こえますが、楽しさよりも苦しさが大きくなったと自覚して"界隈"から離れた。

今までの彼女にできなかった選択をしました。傷つく環境や合わない人から離れることは、自分を大切にするということなのです。



21.2.10

ファンとして復帰したように見えるけれど、今の真弓はニコラの言動のすべてを疑ってかかっている。お金と時間を使いながらも楽しめていない。もはや"好き"ではなく引き返せない執着。

夏のあれ一回で本当はもう無理だった。自分を騙して延命している状態。本人にそこまでの自覚はありません



21.2.10

10月編後半(第13話)でちえりが着ているロリィタ服はInnocent worldの「大人になったアリスワンピース」です

その上に同シリーズのエプロンドレスを合わせるとアリスそのもの。


前回の服は同ブランドの「白百合ワンピース」(漫画の作画につき簡略化しています)。

どちらも主にニコちゃん鑑賞用で、彼女の手持ち服の中では落ち着いたクラシカルな印象。それは真弓の好みでもあり……



21.2.12

間を空けず描いているとどんどん真弓の気持ちになってくるので、幾多の少女を救った可奈子さんの小説が現実には存在しないことがつらくなる 幻覚です



21.2.15

「真面目な良い子の長女」の真弓には、悪者になる度胸などありません。良く言えば倫理観があり悪く言えば小心者。嫌がらせなんてできない。


誤爆の際もニコラを許さないと強く思いながら、やったことといえばこそこそとアカウントを特定する程度。事務所への報告メールすら、下書きのまま長い間ためらう。

今回ちえりちゃんが降りなかった場合、彼女の前ではいいお姉さんの顔をしたまま、やっぱ気にするんだ〜と思われたくないがために距離をとる選択もできず、すぐ近くでジリジリと灼かれる地獄を味わいながら、せいぜい彼女から聞いた話をまた事務所に報告するくらいでした。

これで良かったのです。



21.3.7

「虚言癖の少女」という存在は、『少女地獄』の姫草ユリ子から着想を得ています

都会に出てきて、誰も自分の過去を知らない環境で虚構を重ね、やがて破綻していくかわいそうな女。



21.3.14

ちえりちゃんが降りた本当の理由を真弓は知らないです。自分のせいじゃないか?と思ってしまうタイプですが、実は全く関係ありません。

人の心の中を覗くことはできない。真弓以外の登場人物には内心のフキダシやモノローグが一切ありません。(百花視点時も百花のみ)

他人が何を考えているかなんてわからないからです。何もかもが真弓という少女の想像でしかない。現実世界と同じ




<21.3.31に『NICOLA』は完結しました。その際のごあいさつ、あとがきは別記事にまとめています>




21.4.20

真弓は就活には苦労しません。

第一印象がとても良い。他人の顔色を伺う=求められている人物像を敏感に察知する。その場限りの演技が上手い(長期的な関係になるとボロが出る)。自分の話をするのは得意。

そして後で「なんかイメージと違うね」と言われます。


21.4.29

現在真弓は3年生になり、前期の授業が始まっています

過去に落とした必修という現実が重くのしかかり、下の学年の子と机を並べていますが恥ずかしいなどと言っていられません😌


けれど、人間が気持ち悪く感じたとき、相容れなくて苦しい時、世界の生々しさに失望したとき、すぐに血を流してしまう柔らかく繊細な心が否定されない安心をもって話せる相手がいます

たとえ永遠の関係でなくとも、ファン仲間との出会いは彼女の人生の財産です


21.4.30

「中学の頃は先生がかっこいいとか先輩が好きとか盛り上がって楽しかった。高校に入ったらみんな普通に付き合い始めてカラオケでどこまでやったなんて聞くことになっちゃった」

と寂しそうに話す友人と、吹きさらしの駅のホームのベンチに座って3時間も語り合ったことを彼女が忘れてもわたしは忘れない







お読みいただきありがとうございました。

手記の目次はこちら

bottom of page