精神的な昇降はどうしてもあるもので、ここのところちょっぴり塞ぎ気味でした。
絵そのものも、表現力もまだまだ理想の世界に遥か届かない苦しみに、時折鬱屈としていたのです。
それは永遠に解決することのない幻想の苦しみでもあります。理想なんて、際限なく大きく遥か高みに置くことができる。どんなに焦がれても掴めない雲なのですから。
と、自分に言い聞かせてなるべく完璧主義にならないように(度が過ぎると良い事がないので)、創作しています。
ちょうどそんな折に、個人サイトのメッセージから一葉のご感想を頂きました。
私とその方の間のことですから内容に触れることはいたしませんが、白い梔子の花のような潔い少女の魂を感じ、嬉しさや追憶や希望……様々混ざった感情ですこし泣いてしまいそうになりました。
そして、ああ、真弓は本当にいるのだと思いました。
私の創作キャラクターですから、いるもいないもありませんが、そんな夢のない話は置いておいて。
『少女の国』→『少女の心臓』→『NICOLA』(現時点で4月編)と描いていく中で、「真弓ちゃんは水野さんご自身ですよね?」というお言葉をかけて頂くことが何度かありました。肯定的なニュアンスで。
物語をどう捉えるかの部分に作者が立ち入ることはしたくないので、読んでくださった方の世界を壊さないためにはっきりとは言及してきませんでしたが、一度答えを書いておきますね。
はい。でもあり、いいえ。でもあります。
真弓は、彼女の物語を受け取めて心の中に住まわせてくださった全てのあなたと、私であり、過去と未来の、空想的で潔癖で夢見がちで創造的で、時にどうしようもなく身勝手な、少女の魂の結晶です。そのような気持ちで描いています。
ノンフィクションですか? という問いへの答えならば「いいえ」になり、概念として同じ魂を持っていますか? ならば「はい」になります。
綴った物語や創った世界へ誰かからメッセージを頂くたび、そのひとの中にいる少女を感じ、ああ、真弓はほんとうにいるじゃないか!と感激で胸がぎゅっと締め付けられます。
感性を繋ぐ銀の糸はあるんだ、美しいものはあるし世の中捨てたもんじゃない、伝わるってなんて幸福なんだろう、そんな気持ち……みなまで書かずともきっとお分かりいただけますよね。
私の方が救われているのです。
今までその胸の中に咲いた花の色を伝えてくださった方々、ほんとうにありがとうございます。みなボロヴィニアの庭園で美しく咲いています。
少女たちに祝福と感謝を。
現実世界でどんなあなたなのかに関わらず、その感受性が少女のかたちをしている全てのあなたへ。
お読みいただきありがとうございました。
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